わたしのダイエット体験は古くは20年近く前、中学生の頃にさかのぼります。
その頃から、わたしは自分の体型に悩みはじめました。 実際はそんなに太っているわけでもなく、ややぽっちゃり型という程度のものだったのですが、スラリとした脚を持つクラスメートなどを見るにつけ、どうして自分はこうなんだろう、とむやみに自分を追い込んでいました。
今考えれば(当時、わたしには大好きな女の子がいましたので)、やはり異性に気に入られたいという単純な思いから始まったのだと思います。
しかし、「異性に気に入られたい」 という感情は、男女を問わず、人間にとって根源的なものだと思います。 中学での学年が上がるにつれてこの思いが一層つのってくると、たとえ相手がそう望んではいなくても、わたしの方では絶えず 「理想的な人間でなくては」 という思いが強くなっていきました。 そうした自分自身の根本的な改造への欲求が、ついには 「理想の体型になりたい」 という思いに変わるまで、そう時間はかかりませんでした。 わたしのダイエット体験は、こうして始まったのです。
わたしのダイエットは、まず食事制限から始まりました。
しかし、ほぼ絶食に近い急激な食事制限を行ったために、栄養不足は歴然としていて、高熱で1週間寝込んだこともありました。
それからはまさに、いろいろなダイエットを始めては失敗し、また別の方法を始めては失敗する、ということの繰り返しでした。
ダイエット本を買って、カロリーを計算し、朝食、昼食、夕食すべてにおいて徹底的に脂肪と炭水化物を減らしたりもしました。
親は絶対反対でしたが、わたしはまったく聞き入れませんでした。
学校に持っていく弁当では、ご飯には一切手をつけず、おかずだけを食べたりしていました。(もちろん親には内緒です)
しかし、こうしたことが長続きするはずもなく、こんな努力を重ねている割に大して減ってもいない体重計の数字を見てはがっかりする毎日でした。 そして終いにはお決まりのリバウンドが待ち受けるという最悪のパターン。 こうしたことの繰り返しによって、かえってダイエットする前よりも食に対する執着が増してしまったのでした。
この間、わたしの頭の中にはずっと、ある一つの疑問が浮かんでいました。
それは、「痩せている人はこのような努力をしているわけでもないのに、いや、むしろわたし以上にたくさん食べているのに、なぜ痩せている体を維持することができるのだろうか」 ということでした。
わたしは小学校高学年の頃からずっと、自分の理想とする体型を持つ人をじっくり観察することを日課としており、そういう意味では現在につながる旺盛な研究心も、すでにこの頃から芽生えていたといえます。 この研究心は中学、高校生活を通じて、けっして消えることはありませんでした。
今から考えると、常態変換法の根本原理である 「意志の力が肉体を変える」 という発想の原点が、すでにこの頃からわたしの中にあったのでしょう。 わたしが安易な美容整形に走ることがなかったのも、まさにこの研究心を失わなかったからであると自負しています。
筋肉の緊張力と脂肪の付き具合の関係を発見することができたのも、まさにこのような研究の繰り返しの賜物であると思っています。
それはちょうど高校を中退してからしばらくたってのことでした。
ある日、ひざに思い切り力を入れてみました。
そうすると、力を入れた分、脚全体が筋肉のラインに沿ってキュッと引き締まり、細くなったのです。
そしてひらめきました。 これはひょっとしたら、筋肉に力を入れ続けたら、脚を細くすることができるのではないか。 そう言えば、痩せている人の首すじや手首足首は、太っている人に比べて 「すじ張って」 いて、いかにも力が入っているようにみえる。 それはその部分の筋肉が常に緊張しているからではないか、と。
こうして、筋肉緊張ダイエットの基本原理にたどり着いたのです。
わたしはさっそく実行に移しました。
それからはまさに、筋肉に力を入れ、ゆるんでいるのに気づいては、また力を入れ直す、の繰り返しでした。
筋肉を緊張させることに慣れ、ある程度持続させられるようになるまでに5年くらいかかったように思います。 その間、非常にゆっくりとではありますが、徐々に体重は減少し始めました。
このダイエット法を始める前は60kg前後(ピーク時62kg)をうろうろしていたのが、始めてからは、多少の浮き沈みはあったものの、じわじわと体重が減り始め、10年後位には55kg台にまで減少し、つい最近(2000年3月時点)では52kg前後をキープするようにまでなりました。
一番の進歩は、何といっても好きなものを好きなだけ食べても太らなくなった、ということです。
食事制限する必要がなくなったこと、食事の際にいちいちカロリー計算することがなくなったことは、どれほどわたしをストレスから解放したことでしょう! 「お腹が空いたら食べる、空いてなければ食べない」 という自然な生理的欲求に忠実に従ったおかげで、リバウンドすることもまったくなくなりました。 これもまた、筋肉緊張ダイエットの特筆すべき点だと思います。
ただし、このダイエット法は、実践していくうちにみるみるうちに痩せていく、というものでは必ずしもないことは、あらかじめお断りしておかなければなりません。 本人の心がけや動機如何にもよりますが、たいていの人の場合、効果をはっきりと自覚するためには、わたし自身と同様に相当の年月を必要とすると思います。
(※なお、食事制限と併用すれば効果が倍増することは間違いありませんが、今後一切リバウンドしない!という強い決意と覚悟が絶対に必要となります。
このことを理解された上で、みなさんがそれでもやってみるだけの価値があると思うのであれば、わたしとしては、ぜひ実践されることをお勧めする次第です。
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